茶源郷・和束町で味わう、本物のお茶の時間
京都府・和束町。宇治茶の主産地として知られるこの地に、地元・山甚(やまじん)が営むお茶屋さんがある。お店へと向かう道中には、なだらかな丘陵に広がる茶畑が続き、“茶源郷”と呼ばれる和束ならではの穏やかな風景が広がる。その一角に佇む「和束茶屋 山甚」は、お茶の香りと人の温もりに包まれながら、訪れる人にやすらぎの時間を届けている。ここで味わえるのは、風土と人の手が育む「和束茶」の魅力を五感で感じる、豊かなひとときだ。
和束茶100%が紡ぐ、まっすぐな味わい
山甚が大切にしているのは、「和束茶100%」という確かな信念。お茶の本当の美味しさを伝えたいという想いから、使用する茶葉はすべて地元・和束町で採れたものだけを厳選している。摘み取った茶葉は、鮮度と香りを保つために丁寧に加工。カフェで提供されるスイーツや軽食もすべて自家製で、“お茶本来のうまみ”を感じられるよう工夫されている。その一つひとつに、職人たちの誠実な手仕事と、お茶への深い敬意が息づいている。
伝統を守る、“石臼碾き”の静かな時間
効率化が進む現代にあっても、山甚は古くから受け継がれてきた“石臼碾き”の技を守り続けている。店内に設けられた石臼では、葉肉だけを残した碾茶(てんちゃ)を、一時間にわずか四十グラムというゆるやかな速度で碾いていく。その静かな回転の中で生まれるのは、機械では再現できない繊細な香りと旨味。伝統の製法が織りなす一杯は、和束の自然が持つ力をそのまま閉じ込めたような、やさしい味わいを届けてくれる。
木の温もりに包まれる、やすらぎの空間
木のぬくもりを感じる店内には、心を落ち着かせるような静けさが広がる。柔らかな光に包まれたテーブル席や、一人でも気軽に過ごせるカウンター席があり、訪れる人それぞれが思い思いの時間を過ごせる。和束の茶畑を抜けてたどり着いたこの場所は、まるで旅の途中にふと現れる“休息の間”のよう。お茶の香りに包まれながら、自然と深呼吸をしたくなるような安らぎがそこにある。
お茶を淹れる、“体験する”ひととき
カフェでは、和束茶を使ったドリンクやスイーツ、甘味が豊富に揃う。なかでも人気なのが、自分の手でお茶を淹れる体験。茶葉の種類やお湯の温度によって変化する味わいを確かめながら、お茶の奥深さに触れることができる。茶器にお湯を注ぎ、一呼吸おくと、ふわりと広がるお茶の香り。その瞬間、まるで“お茶の時間そのもの”を味わうような、心地よい静けさが広がっていく。
お茶屋の新たな挑戦 ― 「ヒフミヨイ」
店内の一角では、人気の和束茶をはじめ、ギフトにぴったりの焼き菓子が並ぶ。なかでも注目は、工房で一本一本丁寧に焼き上げるバームクーヘン「ヒフミヨイ」。その名は、昔の数え言葉「一二三四五(ひふみよい)」に由来し、一つひとつの仕事を大切に、年輪を重ねるように丁寧に作り上げていくという想いが込められている。和束の恵みとお茶屋の心を詰め込んだこの逸品は、大切な人への贈り物にも、自分へのご褒美にもふさわしい。
茶の香りとともに、心をほどく時間
和束茶屋 山甚で過ごす時間は、ただお茶を飲むだけのひとときではない。和束の風、香り、光、そして人の手が生み出す一杯を通して、“お茶のある時間”そのものを体験すること。茶畑の息づく土地の空気に浸りながら、静かにお茶を味わうそのひとときは、日常の喧騒を離れ、心をほどく小さな旅のようでもある。和束の自然に寄り添いながら、お茶が持つやさしさと深みをゆっくりと感じてほしい。